こんにちは!
南館歯科クリニックの歯科衛生士、山崎です。
口臭と歯ぐきからの出血で他院を受診したら、
殆どの歯が抜歯と診断を受けた40代男性の症例をご紹介します。
1つ目の歯医者に受診した時、歯周病である事を初めて知り、そのせいで殆どの歯を残せない状態になっていると診断を受けたそうです。
ご自身で口をみても、痛くもないし、歯ぐきがあるのに何で抜歯なのか納得がいかず、
抜歯の他に方法が無いか調べてほしいと、当院へ受診されました。
当時の口腔内写真
口腔内の写真を見ると、歯ぐきは下がっていますが、確かに歯が埋まっている様にみえますね。
ただ、残念ですが歯ぐきは歯を支える事は出来ません。
実際のレントゲン写真
赤いラインが、歯を支える骨(以下歯槽骨)のてっぺん。
青いラインは、元々の歯槽骨のてっぺん。
歯槽骨が大きく失われ、歯を保存する事ができない状態にある。
健康な人のレントゲン写真
レントゲンでは、歯ぐきの下の骨を見る事ができます。
硬いものは白く映る:歯、骨、被せ物などの人工物
柔らかいものは黒く抜ける:歯ぐき等の肉、血管、神経、膿玉、空洞等
骨は白く映るので、歯の周りを埋め尽くしている状態が健康な状態になります。
健康な状態の人に比べて、この患者さんの歯の周りは黒く映っている事が分ります。
歯ぐき=歯肉は、細菌から骨を守るバリアで、歯を支える役目は無く、
私たちが食事を美味しく食べれるのは、歯ぐきの下で、骨が歯を支えているからなのです。
そして、歯が咀嚼をするのに必要な歯槽骨の最低量は、根っこの長さの3分の2以上、10mmの根っこの長さなら、2mmまでが治療して保存できる最終ラインです。
それ以上になると、保存する為の治療の成功率は下がり、歯には動揺などが起こりだし、噛むことが困難になり始めます。
今回の様に、骨の量が3分の1になるとまともに咬むことはできなくなり、そのまま放置されると自然に抜け落ちてしまいます。
歯と歯ぐき、そして歯槽骨(歯を支える骨)は、24時間年中無休で、食いしばりや噛みしめる力に耐え、食事のときは、物を噛み砕き、すり潰し、噛み切ることに使い、さらに細菌の感染にもさらされ続けている過酷な臓器です。
歯槽骨が無くなる一番の原因は、歯周病菌による細菌感染です。(悪い噛み合わせは修飾因子です)
感染の初期~中等度に至るまで、痛みは殆ど無く、出血や口臭が発生します。
今回の様に、歯が動き出す重度の状態になるまで放置されることが少なくありません。
患者さんのご希望で、可能な限り残せる歯を残したいとのことで、先ずはしっかりと歯周病を治していくことになりました。
歯周病治療後
歯周病の治療に関しては→こちら
歯ぐきの腫れが治まり、腐敗臭や出血等、歯周病が原因で起こっていた症状は改善され、
歯の隙間が見えるようになった。
歯槽骨を失う事は、機能面だけでなく、見た目的にも後遺症を残す事になる。
まだ年齢も若く、抜歯の現実を受け入れるのはとても辛い事だとおもいます。
これからの人生で、無自覚な口臭、食事の摂りにくさ、全身疾患のリスク等の個人的な事以外にも、社会的、職業的な交流や人間関係の構築に対して今の状態が与える影響を考えて、これからの治療を検討して頂ければと思います。
私たちは、皆さんにとって良い選択ができる様にお手伝いさせていただきます。
YouTubeで治療動画を見る→南館歯科クリニックのチャンネル
https://youtu.be/GlCWgl0KVT0