ずっと歯ぐきが腫れていて、血も出る|山形市の歯医者|南館歯科クリニック・矯正歯科

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ずっと歯ぐきが腫れていて、血も出る

こんにちは!南館歯科クリニックの歯科衛生士、山崎です。

今回ご紹介するのは、重度歯周病の症例です。

<来院経緯と病状>
1.来院経緯
左上の歯ぐきが腫れ、回復しないことで、かかりつけ医から総合病院内の口腔外科へ紹介を受ける。
紹介先では、血液検査、組織検査を行い、全身疾患やカンジダ等の感染症は陰性であった。抗生物質の服薬及び抗生物質軟膏の塗布等を行い経過観察するが改善されず、当院へ来院。

2.病状・重度歯周病と不適合補綴物
上顎全体の広範囲及び下顎第一小臼歯に腫れ、自然出血、排膿を認める。
歯周ポケットは4~9mmと深い部分が多くあり、レントゲン像からも重篤な骨吸収が認められ、それに伴う歯牙の動揺も現れている。(本人は自覚無)
ポケットが9mmの部分(上顎左右側大臼歯)は保存困難な状態であった。

https://youtu.be/gVZKafgw5pI

また、清掃状態は悪く、ポケット内にプラークが蓄積していた。
歯ぐきの下で、被せ物と歯との境目に虫歯が多発し、段差ができた事も症状を悪化させた一因であるが、根本的な原因は清掃不足による細菌感染であると判断し、歯周病の治療が適切と判断する。

<初診時・口腔内写真>
 
右側                   左側
  


エアーをかけるだけで出血が起こった。
歯ぐきの際だけでなく、上の方まで赤く腫れあがっている。

<レントゲン写真>

今回のケースは、原因不明のまま半年以上の間症状が改善されておらず、患者さん自身も大変お疲れになっている状態でした。
何事もはっきりした答えを求めたくなる気持ちはよく解ります。そして、それが非常に難しい事も私たちは知っています。
したがって、初診時の時点で解っている事と、治療を進めていく中で解ってくることを踏まえて、慎重に治療内容を選択していく事にしました。

<歯周病治療・ブラッシング後>

歯周病で腫れているのか、カンジダや他の感染症が原因なのか判断する為にも、先ずはしっかりと歯についた細菌を落とす必要があります。(抗生物質の塗り薬は、原因を特定する為に使用を中断しました。)
術者が歯磨きの要領で歯ブラシを当てるだけで、写真の様な出血が起こる状態の為、患者さんによっては驚かれるかもしれません。
血が出ない様に磨く指導をする時もありますが、今回の場合、歯周ポケットの中に段差があり、そこに細菌が溜まってしまう為、ある程度ポケット内までご自身で磨いて頂く必要がありました。
これが出来ないと、病院で行う処置をどんなに精密に行っても、直ぐに再発してしまいます。

<歯周病治療・経過1>


ご自宅でのブラッシングと、医院での歯周ポケット内の細菌の除去を2回繰り返した状態です。
上の方まで腫れていましたが、少しずつ腫れが引いてきたのがわかります。

<歯周病治療・経過2>

 
これまでの処置で、初診時の症状が改善してきていることから、衛生不良によって起こった重度歯周病であることを前提とし、歯周ポケット内をより積極的に綺麗にしていく段階に入りました。

動画は、処置中の物になります。
https://youtu.be/ySC04HV-WK0

<歯周病治療・経過3>


歯周ポケット内を綺麗にする処置が、全体の半分まで終わった頃です。
歯ぐきの腫れが引く事で、歯の間に隙間が出てきました。
この時期になると歯磨きの際の痛みや出血も改善されており、磨きやすくなってきます。
どんどん磨きましょう。

<歯周病治療・終了時>

 
全ての歯に対して、処置が終わった状態です。
(1歯他院にて被せ物の治療を行っているとの事で、仮詰めの状態です。)
健康な人は骨があるので歯ぐきが下がる事はありませんが、歯周病を長期間放置した人は歯の周りの骨が無くなる為、歯周病を治した時に今ある骨の位置まで歯ぐきが下がってしまいます。

<初診時との比較>
左・初診時。右・終了時。
 

 

 

歯周病は殆どの場合、長い時間をかけて徐々に進行していきます。
ご自身が腫れていると気づく頃には、かなり悪い状態になっていることが殆どです。
そして、歯周病を悪化させない為にはご自身でしっかり磨く事を前提に、専門家によって歯周ポケット内を完全に清潔にする必要があります。
今回行った歯周病治療に関してはHPで詳しく説明をしております。→こちらをクリック
(病気の状態、コンプライアンス等によって内容に違いがあります。)

また、YouTubeに実際の治療動画を上げていますので、併せてご覧ください。
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