こんにちは!南館歯科クリニックの歯科衛生士、山崎です。
一般的なメンテナンスで、「歯石を取る」という言葉を耳にしたことがあると思います。
歯石を取る事がメンテナンスで、歯石を取れば歯周病が治ると信じている患者さんがまだまだ多いのが日本の現状です。
そこで今回は、医学的に正しい知識にアップデートしましょう!
<歯石とは?>
結論からいうと、そもそも歯石は歯周病の原因ではありません。
ただ、歯周病を悪化させるアクセサリーの役割をしています。
実際の歯周病の原因は「生きた細菌が出す毒による感染」で、歯石は「細菌が石灰化したもの」。
つまり、細菌が歯に付着したまま、唾液の成分で固まった化石を歯石と呼んでいるのです。
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写真は歯周ポケット内についている歯石
※バイオフィルムとは、細菌やその排泄物、歯石等の有害な物質の総称。
<では、なぜ歯石をとるのか?>
1960年頃までは、歯周病の原因は歯石だと考えられていました。
1945年、終戦後の日本で公衆衛生を整え、健康保険制度が作られたころもこの考えだった為、今の健康保険治療にも歯石除去が存在するのが現状です。
1960年代からは、科学の進歩と共に、歯周病の本当の原因が解明されはじめ、現在にいたります。
<歯石を取るだけでは治らない理由>
実は、歯周病を治す為には、正しい治療の手順を守って、治癒への条件を達成する必要があります。
歯周病を治す為に必要な条件は、①細菌感染の除去と②歯ぐきがくっ付ける滑沢で清潔な歯面を作る事です。
その為には、大腸より細菌が多い口の中を清潔にすることが何より重要になります。
画像は、口腔内細菌を顕微鏡で撮影したもの。
口腔内には700種類以上の細菌がおり、1mgの中に10億匹以上と言われる。たった7mgで地球の人口を上回る程多い。
代表的な菌は、歯周病菌、虫歯菌、カビ、緑膿菌(緑膿菌感染症)、ブドウ球菌(O-157の仲間)、大腸菌、原虫、肺炎菌、乳酸菌、ロイテリ菌等がいる。
歯石に限らず、生きた細菌や、細菌が出す排泄物(酸、たんぱく分解酵素、アンモニア、硫化水素など感染源を全ての歯面から除去することが、歯周病治療の第一歩。
生きた細菌の除去をした後に、歯周ポケット内の歯石をとり、歯面を滑沢にして、歯ぐきがくっ付けるようにすることが、本来の歯周病治療です。
つまり、歯石は物理的に歯面を覆ってしまい、歯ぐきがくっ付けないから除去しているという事です。
歯石を放置していいのではなく、手順を踏んでから除去する必要があるのです。
まだまだ解明されていない部分の方が多いですが、歯周病は、誰もがなる病気ではなく、予防法を知っている人はならない病気です。
歯石除去は誰が見てもすごく分りやすく、インパクトが大きいかと思います。
でも、それだけです。
皆さんが正しい知識を持って、自分の歯で最後まで食事をとれるように尽力していきたいと思います。
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