みなさんこんにちは。
山形市南館にある「南館歯科クリニック」の佐藤です。
今回は、南館歯科クリニックの歯周病治療を紹介させていただきます。
50代 男性 主訴：歯石取りをしたい。
これまでも、他のクリニックで3カ月に一回のペースで歯石取りをしてもらっていた。
まずは、主訴について、他にも困っている事が無いか詳しくお話を聞かせていただきます。
最初は、「歯石を取りたい」とおっしゃっていましたが、口臭についても気になっているとの事でした。口臭は自分では分からないし、家族などにも指摘されたことは無いが本当はどうなんだろう？と悩んでいらっしゃいました。
しっかりとお話を伺った上で必要に応じて検査を行っていきます。
レントゲン
口腔内写真
歯周ポケット検査
虫歯のチェック
口臭検査
以上の検査結果から、中等度から重度の歯周病であることがわかりました。
レントゲンを見てみると、本来青いライン辺りまであるはずの歯槽骨（歯を支えている顎の骨）が歯周病の進行によって、赤いラインくらいまで失われてしまっている事がわかります。
これだけ歯周病が進行していても、歯ぐきは青いライン辺りまであります。
この時点で痛みなどの自覚症状は無く、見た目上の歯茎の位置も健康な時とほとんど変わらないので、本人は全く気付いていません。
歯茎の位置は写真を見るとわかります。
この写真だけでは、重度の歯周病とは思えませんよね。
本来、歯ぐきは、歯槽骨の形を再現してきます。
歯周病によって歯茎が腫れているために、この写真では健康な時と同じような位置に歯ぐきの縁があります。
歯周病の治療によって歯茎の腫れが治ると、歯槽骨の位置まで歯茎は下がってしまいます。
このような検査結果を患者さんにお伝えすると、「今まで定期的に歯医者さんで歯石取りをしてきていたのになぜ歯周病になってしまったのか？しかもこんなに進行してしまったのか？」と質問を受けました。
この方からだけではなく、同じ質問を受ける事がよくあります。
答えは、歯周病の原因が歯の表面に付いている歯石ではないからです。
歯周病の原因は歯の表面に付いている歯石ではなく、お口の中にいる生きた細菌（プラーク）なのです。
歯石というのは、このプラークが石灰化して硬くなったものです。
歯の表面に付いている縁上歯石と言われるものは、付いているとブラッシングの妨げになりますし、歯石がプラークの温床になってしまいますので除去した方がいいですが、それ自体に強い病原性はありません。
色は白っぽく、比較的柔らかいため、歯科医院で簡単に除去することが可能です。
ところが、歯茎の中に付いている縁下歯石と言われるものは、歯ぐきからの出血や歯周ポケット内のプラークが原因で、縁上歯石に比べて病原性が高い物です。
ですので、同じ歯石と言っても、縁下歯石はきちんと取り除く必要があります。
この方は、これから先、歯を失いたくない！ということで、歯周病の治療を開始することになりました。
・歯周病とはどのような病気なのか
・原因は何なのか
・患者さん自身は何をしなければならないのか
・クリニックでは何をするのか
・治療をしていくとどんなことか起こるのか
・治療が終了したら今度は何をしなければならないのか
など、歯周病について理解をしていただいた上で進めていきます。
一回目は、上記のようなお話をして、徹底的にブラッシングの指導していきます。
正しいブラッシングに邪魔な縁上歯石もこの時点で除去します。
ブラッシング指導をして、ご自宅で正しいブラッシングをしていただき、2回目に来ていただいたときの写真がこちらです
⇩
すでに歯茎が引き締まってきたのがわかりますね。
とてもきれいに磨いてくださいました。
これでもまだ足りないところがあるので、より細かい所のブラッシング指導を行います。
ブラッシングが完璧になったら私たち、歯科衛生士の出番です。
南館歯科クリニックでは、手探りではなく、マイクロスコープを使用し歯周ポケット内を目で見ながら取り残しの無いように縁下歯石の除去を行っていきます。
この患者さんはまだ治療の途中です。
治療の終了を楽しみにしていてください。
歯周病Ｑ＆Ａ
Q.歯周病って完治できますか？
A.残念ながら、歯周病は治りません・・・。
この場合の「治らない」というのは、病気になる前の元々の状態に完全に戻すことはできない。ということです。例えば、歯周病が進行して歯槽骨が溶けてしまっている場合、無くなった骨を元に戻すことはできない。ということです。
しかし、歯周病の進行を食い止めて、炎症をおさえ、お口の中の環境を健康な状態に戻すことは可能です。
ただし、健康な状態に戻すためには、適切な治療を行える歯科医院で歯周病の治療を行う必要があります。
無くなった骨を元に戻す事が出来ないので、歯周病の治療は早ければ早い方がいいということが言えますね。