歯を抜きたくない患者さん vs 抜けそうな歯|山形市の歯医者|南館歯科クリニック・矯正歯科

トピックス TOPICS

歯を抜きたくない患者さん vs 抜けそうな歯

こんにちは!南館歯科クリニックの歯科衛生士、山崎です。
今回ご紹介するのは、重度歯周病で歯の動揺と腫れや痛みが出ている方です。

患者さんの希望は、歯を抜かず、痛みをとることでした。



↓大きな画像は下記をクリック↓
患者:60代 女性 主訴:歯がグラグラして痛い。 抜くのが嫌で歯科医院へ行くのを控えていた。

歯周病は、歯を支える骨が腐る病気です。
つまり、口の中の細菌バランスが崩れることで、歯ぐきの隙間(歯周ポケット)から細菌が入り込み、その毒素で歯の周りの組織である、骨、歯肉、を腐らせます。
別名、サイレント・ディジーズ 静かなる病気と呼ばれ、今回の様に病気が重度になるまで症状が現れません
歯やインプラントが、痛み無く正常に噛む機能を発揮する為には、歯根の2/3以上の骨が必要になり、
残りの骨が2/3を切ると、だんだんと歯を残すことが困難になります。
そして、歯周病はインプラントにも感染します。

レントゲンをみると、根っこの先端まで骨が透けて写っていない為、医学的には抜歯が妥当と判断されます。
骨が無いという事は、歯を残すにあたり致命的なダメージとなるという事です。

歯周病治療は、今~将来に対して病気の進行を止めたり緩やかにする事は出来ますが、既に無くなった骨を再生させることは出来ません。
現時点では、まだ動いていない歯や、治療後に症状が改善した歯を可能な限り支えていく事が歯周病治療の最善になります。
状況的に患者の希望を叶える為の選択肢は少なく、
①抜歯
②延命としての歯周病治療(痛みに対する処置は前述のとおり対応できるか不明。)
③抜けるまでこのまま何もしない
の3つになります。
(組織再生誘導法等の外科処置は、骨の残り具合、噛み合わせ、処置後の徹底した衛生管理等の面で、今回は不適応となります)

今回は、可能な限り歯を残したいというご希望の下、延命処置として歯周病治療を行いたいとのことでした。

治療前                   治療後

治療の後は、腫れ、痛みは改善されており、生活に支障は無くなったとの事でした。
動揺は骨が無いため、完全に止まる事はありませんが、歯ぐきが引き締まったことで若干落ち着きを取り戻せています。
(歯周病治療の説明はこちら→歯周病治療の説明)

今後は、インプラントも入れたいと新たにご希望されており、院長と相談予定です。
インプラントを考える場合は、安全に行う為の前提条件のクリアと、患者の環境が整っている事が最低限必要です。
初診時の口腔内環境では、入れ歯が最も適していますが、歯周病が管理できていることは、それだけで治療の幅を大きく広げる事ができます。
インプラントをする前提条件は→こちらのブログに記載←してあります。
併せてインプラントの詳しい説明もご覧ください。→インプラントを検討している方へ